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やまぐち近代建築ノート連載 第22回 山口県旧県庁舎及び旧県会議事堂(下) ~保存後の活用と顕彰の模範

▲ 山口県旧県会議事堂

2021年3月7日(日)、山口新聞の「地域文化」欄に、第22回記事が掲載されました。
大正5年、大蔵省臨時建設部+武田五設計による「山口県旧県庁舎」と「旧県会議事堂」の第二弾。
今回は、保存修理工事を実施し、既に現代的活用が図られている「議会棟」を中心に書きました。

実は、私は現役時代、2年間ですが、この工事に携わっています。
2016年に行われた「山口県旧県庁舎及び旧県会議事堂創建100周年記念事業」について、近代建築を「顕彰」し、かつ多くの人たちと「活用」を図った、とても意義深い事業だったことを振り返っています。
中でも「子供スケッチ大会」は、親子含めた250名が参加。
多くの子供たちに見つめられ、描かれる老庁舎は、さながら孫、ひ孫らに囲まれた幸せなお年寄りのようでした。

世代を超えた「活用と顕彰」。
その積み重ねが、近代建築を愛し、大切にする心を育てていくのだ、とつくづく思います。

以下、「山口近代建築研究会HP」へ。(全文掲載、画像もクリアに大きく見えます。)
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大正期までの議事堂は、庁舎に組み込まれる形が多かった。
例えば、兵庫県庁舎(明治35年)、福岡県庁舎(大正2年)などは南側が県庁、北側が議会の「ロの字型」一棟で建設されている。
山口県県会議事堂は、珍しく「単独庁舎」として建てられたため、平面計画には独自の工夫が伺える。
「ロの字型」の県庁舎に対し、議事堂は、吹き抜けを持つ議場を北側中央に据えた「山の字型」プラン。
議員、知事、傍聴人が三つの玄関から、各々専用の室に控え、三つの階段も利用して主舞台の議場へと入っていく。
各動線は交差しないように、慎重かつ良く練られた平面計画となっている。

この議事堂は、平成12年3月、六年の歳月をかけ「保存修理工事」を終えた。
屋根、塔屋、外壁の材料や意匠、更に内部も内装だけでなく、照明器具、家具、緞帳なども、基本的に当初のものに戻されている。
また、煉瓦建築は耐震性が劣るため、基礎廻りは鉄筋コンクリートのスラブで、また木造床や大空間を持つ議場の煉瓦壁などは鉄骨や鋼板で、それぞれ耐震補強がなされた。
大正5年建設当初の姿で、現代の活用も可能な文化財として、美しく強く甦ったのである。

以後、旧議事堂は様々な講演会や催し物の会場として使われている。
記憶に残る活用は、平成28年、県、県議会、民間NPOの協働で実施された「創建100周年記念事業」だ。
100歳を迎えた両庁舎を祝い顕彰するため、見学会や記念講演会、景観寸劇、資料展示などが行われた。
中でも「子供スケッチ大会」は、親子含めた250名が参加。
多くの子供たちに見つめられ、描かれる老庁舎は、さながら孫、ひ孫らに囲まれた幸せなお年寄りのようであった。

世代を超えた「活用と顕彰」。
その積み重ねが、近代建築を愛し、大切にする心を育てていくのであろう。

(山口近代建築研究会、一級建築士・原田正彦)

【メモ】山口市滝町1の1、国指定重要文化財、設計者施工者は旧県庁舎に同じ、参考「山口県旧県会議事堂保存修理工事報告書」(山口県2005年)

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