• 私たちは、近代建築をテーマに、建築文化や景観まちづくりに関する研究を行っているグループです。

令和2年度山口県ヘリテージマネージャー・ステップアップ講座(第4回)

q@e
▲ 第4回HMSU講座(山口県旧県会議事堂議場)

第4回最終の「山口県ヘリテージ・マネージャー・ステップアップ講座」。
午前中は、8月から9月にかけて実施した3つの文化財級建築の実測調査結果の報告。(末益氏、水谷氏、原田)
そしてまとめとして、「文化財は私たちを待っている」の講演。(原田)
午後からは、山口大学岡松先生と京都工芸繊維大学の笠原先生による二講座を受講しました。

岡松先生の講座「不連続をつなぐリノベーションとまちづくり」では、先生がこれまで設計された作品を紹介されながら、内部と外部、記憶や地域性との連続性を図ることを心掛けてきた、と話されました。
続いて、日本の都市には、「時代的不整合」と「文化的不整合」があること、日本・山口においてヘリテージマネージやリノベーションは、こうした「不連続性」を背景として考える必要がある。これらへの対応として、コンパクト化を図るにはあまりに時間がかかるため、地方都市の低未利用空間活用における「仮設手法の有用性」に目を向けられ、その事例として鹿児島の「串木野まちなか市」での様々なイベントや空家活用の事例を紹介されました。そうした取り組みは山口の宇部でも、「UBEビエンナーレ」や「コンフリ宇部」のように、徐々に行われているとのことで、私たちHMも一緒に取り組んでいければと感じました。

 続く笠松先生の講座「近代建築の保存活用をめぐる制度と職能を考える」では、冒頭「オランダなどのヨーロッパでは、行政が建造物に文化財と指定してしまうと、その建物は自由に壊せなくなるというのは常識で、市民もそうした意識で保存を行っている。日本では、持ち主の自由が優先され、壊すと言えば壊される。登録文化財になったものも、この20年間で既に200棟が解体されている。日本の文化財に対するこの姿勢は、世界的に見れば非主流なのだ」と衝撃的な話から入られました。
この後「自治体による国・登録有形文化財の保護の現状」について述べられ、京都においては、ある程度パターン化された町家は保護制度が進んだように見えるが、近代建築については基礎的な調査が不備のままで、かなりの危機感を持っている、このため「近代建築の保護行政」が急務であることを述べられました。
続いて、制度には限界があり、「人」、「保存活用を巡る職能の問題」に行きつくとされ、文化財建造物修理技術者だけでは無理で、民間の活用と改修のための専門家の育成が必要だと考える。このため、「住宅遺産トラスト関西」のような歴史的建造物のマネジメント組織を作って活動していること、また京都工芸繊維大学では、改修の専門家を養成する「ヘリテージアーキテクト養成講座」を開始していると話されました。

いずれの講演も、HM講座の最後を飾るに相応しい、非常に内容の濃いものでした。

講演後、修了式があり、松田建築士会会長からお祝いの言葉の後、会長から一人一人に「修了証」が手渡されました。
また、今回で補講を完了し、新たに3名の山口県ヘリテージマネージャーが誕生し、これまでと合わせて50名のHMとなりました。

最後に、両先生や会長らと記念写真を撮り、終了しました。
皆さん、お疲れ様でした。 

〔次第〕
日時 令和2年11月14日(土) 9時30分~16時30分
場所 山口県旧県会議事堂議場

9:30~10:00   HMSU講座実測調査報告1妙鑑寺位牌堂…原田正彦〔資料1・2〕
10:00~10:30  HMSU講座実測調査報告2 向山文庫…末益卓也〔資料3-1〕〔資料4〕
10:30~10:45  HMSU講座実測調査報告3 宮市商参会館…原田正彦〔資料3-2〕
10:45~11:30  講演「文化財建造物は私たちを待っている」…原田正彦〔資料5〕
11:30~12:00  意見交換「山口県HMの今後の活動について」
12:00~13:00  昼食

13:00~14:30  講演1「不連続をつなぐリノベーションとまちづくり」〔資料6〕…岡松道雄氏(山口大学大学院創成科学研究科工学系学域感性デザイン分野 教授)
14:40~16:10  講演2「近代建築の保存活用をめぐる制度と職能を考える」〔資料7〕…笠原一人氏(京都工芸繊維大学デザイン科学域建築学専攻 助教)
16:10~16:20  質疑応答
16:20~16:30  修了証交付式 (松田建築士会会長)
※記念撮影
16:30 終了

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。