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やまぐち近代建築ノート連載~第10回 吉川邸厩門

▲ 山口近代建築ノート第10回吉川邸厩門

本日8月23日(日)、第10回が掲載されました。
今回紹介するのは、明治25年建設の吉川邸本館と合わせて造られた「旧吉川家厩門」。厩門(馬屋門)とは、当時の移動手段であった馬を飼う小屋を併設した門のことです。
一見白壁の伝統的建物に見えますが、屋根が入母屋ではなく寄棟であり、軒裏には蛇腹も回っています。そして門を潜り、馬房内の小屋裏の構造を確認すると、洋小屋組のキングポストトラスが目に付きます。
つまり、これは明らかに西洋の構法に影響を受けた近代和風建築なのです。
馬屋付き門長屋といった伝統建築にも、明治期の中頃には西洋化の波が定着しつつあった面白い事例として取り上げています。

以下、原稿の抜粋。(全文は山口新聞をお読み下さい。)
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明治24(1891)年、岩国藩主吉川家は、防府に居住地を置いた宗家の毛利家に倣い、東京から岩国に居を移すこととした。翌明治25年、第二代藩主吉川経健の邸宅である本館及び御家職屋敷が完成するが、これに関連した施設が、今も周辺に残されている。明治期だけでも、吉川史料館倉庫(明治17年)、吉香神社(18年移築)、錦雲閣(18年)、水西書院(19年)、吉香茶室(25年)などがある。
外観は、江戸期の門長屋を踏襲した形で、四段の石垣の上に、腰部は縦に打ちつけた簓子のある下見板張り、更にその上には軒裏まで塗り込めた白漆喰壁、と言う三層構成だ。正面右寄りに両開き扉を持つ通り門、三ヶ所に横連子窓を設けている。
この類似の建物に、明治45年建設の重要文化財・旧小寺家厩舎(河合浩蔵設計/神戸市)があるが、こちらは、馬車庫や厩務員宿舎も持つドイツ風の煉瓦造二階建て。それと比較すると、この厩門は伝統色が強く小規模だが、年代は20年早く、日本に残る珍しい近代和風の厩舎建築として貴重な遺構だと言えるだろう。

〈メモ〉
岩国市横山2-7/設計・施工不詳/国登録有形文化財<参考>「山口県の近代和風建築」(福田東亜氏「旧吉川邸関連建物」2011年)

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