第10回最終の「山口県ヘリテージ・マネージャー養成講座」。
午後からは、京都工芸繊維大学教授の松隈洋先生による「モダニズム建築を学ぶ」基調講演で、「ル・コルビジュエとはだれか」「時間の中の建築と前川國男の問い」のタイトルの二講座を受講。
最初の講座では、コルビジュエの建築における革新性、その一連の作品、また日本の建築家たちに与えた影響などを話されました。
前川國男・坂倉準三・吉阪隆正などを育て、またシャルロット・ペリアン、柳宗理などにつながる人脈を考えると、「日本はコルビジュエに最も影響を受けた国である」ということが良く理解できました。あの村野藤吾も尊敬し、「ロンシャン教会」→「宝塚カトリック教会」、「ラトゥーレット修道院」→「西宮トラピスチヌ修道院」などの類似性の指摘には、うーん、なるほど!
続くもう一つの講座は、前川國男が戦前戦後に歩んできたモダニズムへの道を、氏の言葉と共に紹介されました。その中で、現代文明の行方と現代建築の課題についても触れられました。個人的には、「合理主義建築はそのままではやせた建築になる」ことを早くから危惧されておられ、マテリアルの大切さにも早くから注目されておられたことに感銘を受けました。
山口県内には前川作品はありませんが、氏の作風を受け継いだ弟子の鬼頭梓が設計した作品として、山口県立図書館、山口県立美術館などがあります。これらを大切に維持、活用していくことが私たち山口建築士の使命である、と強く思いました。
いずれもHM講座の最後を飾るに相応しい、非常に内容の濃い講演でした。
講演後、修了式があり、松田建築士会会長からお祝いの言葉の後、会長から一人一人に「修了証」が手渡されました。
今年度は12名の山口県ヘリテージマネージャー、昨年度と合わせて47名が誕生したことになります。
補講待ちの方が2~3名おられるので、近く50名を超える登録となります。
最後に、松隈先生や会長らと記念写真を撮りました。