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やまぐち近代建築ノート連載~第5回四階楼

第5回四階楼▲第5回 四階楼

本日6月7日、第5回が掲載されました。
対象は木造四階建ての擬洋風建築の傑作「四階楼」。
外観、内装とも、鏝絵のオンパレード。「鏝絵博物館」と言ってもいいくらい。
以下、原稿の抜粋。

室津半島先端の町上関。朝鮮通信使の歴史を持ち、明治には大阪や広島への航路が開かれるなど、古くから海上交通の要地として発展した。
海峡を挟む急峻な地形に低層の民家がひしめく中、一際目を引く高い建物、それが四階楼だ。
施主は、幕末、第二奇兵隊に属して戦った経歴を持つ小方謙九郎。維新後は室津に戻り、回漕業を営んでいた。
三階以上の建物が解禁される中、小方は、大工の吉崎治兵衛を連れて、長崎を見分し、新しい汽船宿の構想を固める。
「治兵衛、文明開化に相応しい御殿にしよう。それも四階建でな。」。
腕利きの鏝絵職人はいるが、四階建とは…。治兵衛は構造上の不安を感じつつも、「じゃあ、一つ一つの階高を低くして」と工夫し、謙九郎の要望に見事に応えた…。
チャレンジ精神あふれる二人の、そんな微笑ましいやり取りが、この建物の正面に建つと浮かんでくる。

<メモ>熊毛郡上関町室津868-1/吉崎治兵衛施工 /平成10~13年改修/国指定重要文化財/建物名称は、四階楼→四階屋→四海

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