2019.06.29日「国指定登録有形文化財・桂ヶ谷貯水池堰堤見学会」での講演から
(1)国指定文化財等データベース(HP)より
山口県山口市小郡上郷2915/1923(大正12年)/2015年一部改修/登録有形文化財(建造物)/2016.08.01(平成28.08.01)登録/重力式コンクリート造堰堤、堤長24m、堤高13m/1基
椹野川水系四十八瀬川右支桂ヶ谷川に築かれた旧水道堰堤。堤長二四メートル、堤高一三メートル規模、表面石積の重力式コンクリート造堰堤。緩やかなアーチ平面と、煉瓦積で丁寧に築いた取水塔及び高欄が特徴的。中国地方につくられた初期の水道堰堤の一つ。
(2)「やまぐち近代建築探偵」第54回「近代小郡支えた赤煉瓦」/浅川均氏執筆文より
・鉄道敷設計画に伴う小郡町の人口増対策として、良質な水を安定的に供給するための上水道施設が当時の大きな課題であった。
・1920年上水道期成同盟会が設立(古林新治、秋元春三ら)
・大分県別府町の水道技師石崎貞次郎の設計・指導により大正12年に完成(関東大震災のあった年…)。
石崎は、別府に乙原貯水池堰堤(1916年/現乙原ダム/日本の近代土木遺産~現存する重要な土木構造物2000選に選定)を設計しているが、それと構造、意匠は良く似ている。
・この上流には、小郡への機関庫移転に伴い、水需要の増加に伴う羽根越堰堤が、昭和3年宇部市小野に建設された。こちらは、コンクリート造。(現在はかなり改修されている。こちらは登録文化財ではない。)
(3) NHKによる紹介
・2016年9月NHK「情報維新やまぐち」の「お便り散歩」で、原田が他の近代建築と共にこの堰堤を紹介
・2018年7月NHK-BSの「出張Cool JAPAN 山口」でこの堰堤が再び紹介される。こちらは全国放送!(本年8月にも再放送あり)